カーペットの歴史
古代より、世界中で使われているラグやカーペット。
ペルシャ絨毯やキリムラグなど地域によって特色は様々。民族性や豊かなデザイン性に溢れるカーペットが各地に存在しています。では、そのラグやカーペットはいつ頃、どのようにして世界に広まっていったのでしょうか?
世界で最初のカーペット
世界で最も古い織物はエジプトのファイユーム遺跡から出土した、紀元前4,200年ごろの麻布といわれています。紀元前4千年ごろには平織、綾織、網代織や綴織などがつくられていました。
一方、現存する世界で最も古い段通としては、南シベリアのアルタイ山中パジリク峡谷の古墳から出土した「パジリク段通」が知られています。この古墳は遊牧騎馬民族スキタイ人の王族の墓で、発見された段通はパイルがウールのトルコ結びで結び目は10cm平方に5425結びという密なもので、推定年代は紀元前5世紀頃のものです。さらに、同じアルタイ山中のバシャダールの墳墓から出たものは10㎝平方に7000もの結び目があって制作年代は紀元前6世紀ということなのでパジリク段通よりもさらに古いものということになります。
カーペットの広がり
中央アジアで発生した織物カーペットは、シルクロードを行き来する商隊、時には戦争などによって、13世紀ごろまでにアラビア―アフリカ・カフカス(コーカサス)-ヨーロッパ・モロッコ―スペインへと広がりました。
カーペットは商隊の取り扱う商品の中でも特に珍重され、その技術も時と共に洗練され、セルジューク・トルコやペルシャでは複雑な幾何学模様や、絵画のように鮮やかな色合いの絨毯が生み出されました。
こうして世界各地へと広がったカーペットは、その地域の文化や技術を取り込んで独自の様式へと発展、15世紀から19世紀にかけてカーペット文化は世界で大きく花開きます。
カーペット文化の開花については、【世界のカーペット】で詳しくご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
カーペットの現在
こうした世界のカーペットは近代に入るまで、その多くが手で編まれたものや、手動の織機によって織られた緞通(だんつう)を中心としていました。
しかし、近代になるとこうした緞通(だんつう)ではなく、糸を結びつけずに、パイル(布面にある毛や輪のこと)を作るビロードが主流となります。
このビロードは産業革命以後、蒸気機関の発明や様々な紡績機・織機の発達により、ウォール・ツー・ウォール・カーペットや、フェース・ツー・フェース・カーペットが生まれ、さらに20世紀になると、技術革新によりタフテットカーペットや、ニードルパンチによるフェルトなど、織らないカーペットが生み出されています。
こうしてカーペットは、その長い歴史の中で多くの性格を持ち、様々な地域・民族・人種の間で愛されてきました。
これからもきっと、新しい技術が開発されより快適に、よりやさしいラグやカーペットが次々と生み出され、皆さんの生活を足元から見つめてゆくのでしょう。